朗読アリア

朗読アリア

@aria8888 · 14K subscribers · 322 videos · Japanese

📖 ようこそ、「朗読アリア」へ。 朗読アリアが、時を超えて愛される日本文学を“耳で味わう”時間をお届けします。 このチャンネルでは、夏目漱石・太宰治・芥川龍之介・宮沢賢治・山本周五郎など、青空文庫に収録された名作を丁寧に朗読しています。静かな語りの中に息づく文豪たちの言葉が、日々の喧騒をそっとやわらげ、心を落ち着…

Episodes

17:06

【長編連載28】「咳三つ」天地静大28 山本周五郎 朗読アリア

25 views · 56m ago · 17:06

昨夜、唐丸の中に差し入れられたもの。紙に包まれた短い刃と、地図と、脱走の指示。合図は「咳三つ、それを二度」。 前回、蒲団蒸しにされて泣いた男が、今回は別人のように冷静です。「兎のように温和しく、狐のように狡猾になるぞ」と心に決め、護送者たちの顔を一人ずつ観察している。 初めてこの連載をご覧になる方のために、ここまでの安方をご紹介します。安方伝八郎は中邑藩の若い武士で、尊王攘夷の志士です。異人館焼き討ちを計画し、仲間とともに捕えられました。安方だけが脱藩して江戸へ逃れましたが、幕府に捕まり、藩に引き渡されました。いまは国許へ護送される唐丸駕籠の中にいます。

18:19

【長編連載27】「唐丸駕籠」天地静大27 山本周五郎 朗読アリア

881 views · 2d ago · 18:19

唐丸駕籠というのは、罪人を運ぶための竹編みの籠です。あぐらをかいて坐ればほとんど身動きができない。その上に油単という布を被せられる。中の声はくぐもり、外の景色は見えない。 護送の宰領は藤延伊平。第2回の祝言の夜、透の家で安方が暴れた場面にいた男です。あのとき安方が脇差を抜いて踊ったとき、真っ先に後ろに飛び退いた人。安方はそのことを覚えていて、駕籠の中から嘲り続けます。 わたしはこの場面で、安方という人間がようやく見えたと感じました。 前回の仕置き部屋では、安方は番士たちを「石ころと雑草」と呼び、自分だけが生きていると思っていた。でもこの回で、安方は自分自身と向き合わざるを得なくなります。

13:11

【長編連載26】「明日の刃」天地静大26 山本周五郎 朗読アリア

898 views · 4d ago · 13:11

初めてこの回をご覧になる方のために、二人の人物を簡単にご紹介します。 佐伯角之進は、中邑藩の中目付役。藩の内部を監察する役目の男です。浅黒い肌に長い顎、実際の年齢よりずっと老けて見える二十八歳。感情を表に出さず、言葉を選び、冷静に役目を果たす。第21回で安方伝八郎を捕らえる手配をしたのもこの人でした。 並木第六は、藩の密命を受けて動く男。小柄で鋭い細面、酒を好み、酔っていても刀の腕は確か。第6回「佃島の闇」で透が初めて出会い、第8回では地震の夜に刀を抜く姿が描かれています。飄々としていますが、人を斬ることに躊躇のない、この物語のなかで最も危険な人物の一人です。

16:25

【長編連載25】「石ころと雑草」天地静大25 山本周五郎 朗読アリア

1.1K views · 6d ago · 16:25

安方伝八郎が寝ころんでいます。町方に捕まり、宗間家に引き渡され、三十日間この部屋にいる。刀はない。四人の番士が黙って坐っている。 佐伯角之進が来ます。「国送りときまった。神妙にすれば腰縄、さもなければ唐丸駕籠だ」と。 わたしはこの場面で、安方と佐伯という二人の対比に惹きつけられました。 安方は寝ころんだまま佐伯を見上げる。佐伯は立ったまま、感情を見せない眼で安方を見下ろす。安方は饒舌で、佐伯は寡黙。安方は自分の正義を信じて疑わず、佐伯は役目を果たすだけ。でも最後に佐伯が言います。「おれは侍の約束として、その言葉を受取っておく」。あの一言には、安方を人間として扱うという佐伯の矜持がありました。

15:54

【長編連載24】「椿散る庭」天地静大24 山本周五郎 朗読アリア

1.4K views · 1w ago · 15:54

向島の小梅瓦町、施薬所の庭。椿の花が散る音のする、静かな場所。 現れたなほは、変わっていました。黒っぽい縞木綿の着物、模様もわからない帯、擦り減った下駄。陽に焼けた肌、油けのない髪。磯部の浜で浅みどりの被衣をかぶっていた人とは、まるで別人のようでした。 でも、変わったのは見た目だけではありません。 なほは自分の口で、自分の旅を語ります。岩古の「江戸新」から舟を出してもらったこと。船頭の老人が迷いもなく頷いてくれたこと。仙台藩の御用商人・磯屋五兵衛の船に乗せてもらったこと。深川の岸に夜、小舟で上がったこと。

15:52

【長編連載23】「施薬所」天地静大23 山本周五郎 朗読アリア

1.1K views · 1w ago · 15:52

透は駕籠に乗って向島へ向かいます。仲上に跟けられていないか、何度も後ろを振り返りながら。 施薬所は、かつての大名の下屋敷でした。黒い長屋門は半ば崩れ、築地塀も傾いている。その荒れた構内で、なほは働いていました。 この回で語り手になるのは、丹波屋という町役の男です。この人のたったの何分間かの案内が、透よりも先に、なほがどんな人間であるかを物語ります。 わたしがもっとも深く頷いたのは、子供たちの場面です。 知らない人が来ると銭をねだる子供たち。丹波屋が叱ると黙る。でも動かない。くいいるような眼で透を見つめている。透がふところに手を入れかけると、丹波屋が止める。「杉野さんから云われたのです」と。

22:31

【長編連載22】「抜き身の朝」天地静大22 山本周五郎 朗読アリア

1.6K views · 1w ago · 22:31

向島の小梅瓦町、施薬所にいる。杉野いし、浪人の娘ということになっている。会いに来てほしい、どうかお叱りにならないように。 透は封を切る手が震えていました。仲上藤六と別れてから半刻。もし仲上がまだあの辺りをうろついていたら、なほの使いと鉢合わせていたかもしれない。「危なかった」と透は呟きます。この小さな偶然の恐ろしさに、物語の糸がどれほど細く張り詰めているかを感じました。 そして翌朝、透は包と金を持って学問所へ向かいます。郷臣に預けるために。

21:50

【長編連載21】「出奔」天地静大21 山本周五郎 朗読アリア

1K views · 2w ago · 21:50

透が知らないあいだに、なほには縁談がまとまっていました。仲上藤六という男との正式な婚約。結納も済み、祝言の日取りまで決まっていた。しかしなほは病気だと言って延ばし、年の暮に家を出た。 わたしはこの知らせを聞いたとき、第3回の「江戸新の茶屋」を思い出しました。あの日、なほは透の前で泣きました。「なにも仰しゃらないで。もう暫くこうさせておいて下さいまし」と。あのとき、なほはもう自分の未来が見えていたのではないか。透が江戸へ発てば、自分に縁談が来ることも。それを拒めば家を出るしかないことも。

14:17

【長編連載20】「根のない木」天地静大20 山本周五郎 朗読アリア

1.5K views · 2w ago · 14:17

透が学問所から戻ると、そこにはもうかの子の姿はなく、風呂敷包と手紙だけが残されていた。「いずれ戻るか、使いをよこす。それまでこの包を預かってほしい」と。 わたしはこの失踪を知ったとき、郷臣が以前に言った言葉を思い出しました。「黙って見ていればやがて尻尾を出す」。かの子は尻尾を出す前に消えた。それは郷臣の読みが外れたのか、それともかの子が読みの上をいったのか。 郷臣はかの子について、「左内の動静をさぐりに来たのではないか」と透に語ります。そして「宗間家からおれを除く材料を作ろうとしたのかもしれない」とも。「除く」という言葉に透は戸惑いますが、郷臣はそれ以上語りません。いつもの「ふいっと見えなくなる」です。

16:12

【長編連載19】「鶯ふたたび」天地静大19 山本周五郎 朗読アリア

1.4K views · 2w ago · 16:12

「おまえはこの兄に、おまえを殺す意志があると思ったのか」。その声に怒り以上のものがあったとわたしは思います。傷ついている。信じていた弟に疑われたことが、藩主としてではなく、兄として痛かった。 でもそのあとの会話で、二人はすれ違い続けます。 郷臣は藩の危機を語ります。密勅のこと、京との往来のこと、奥羽連盟の裏にある公武合体の可能性。政治に関心がないと言い続けてきた人間が、この場でだけは本気で現状を分析している。兄にわかってほしいから。兄にだけは通じてほしいから。

16:56

【長編連載18】「兄と弟」天地静大18 山本周五郎 朗読アリア

1.9K views · 3w ago · 16:56

前回の冒頭で、郷臣は正装して上屋敷に呼ばれ、膳に手もつけず待っていました。そして兄・充邦が現れ、「知らぬふりをするな」と。 今回は、その続きです。 安方伝八郎の名が出ます。「金を与えたこともわかっている」と充邦が詰め寄る。郷臣は否定する。「対決させようか」「お望みならどうぞ」。この兄弟のやり取りは、政治の駆け引きでありながら、同時に家族の会話でもある。そこがこの場面の切なさだとわたしは思いました。 わたしがいちばん胸を突かれたのは、郷臣が「二度、刺客に襲われました」と告げた瞬間です。

15:37

【長編連載17】「血の絆」天地静大17 山本周五郎 朗読アリア

1.3K views · 3w ago · 15:37

章の題が「血の絆」。この二文字の重さが、聴き終わるとわかります。 郷臣が正装しています。黒い服に継ぎ裃。月代をきれいに剃り、髷を結い直している。あの着流しの男ではない。上屋敷の数寄屋に通され、膳を前に半刻以上、待っている。 わたしはこの冒頭で息を止めました。これまでの郷臣は、自分から動く人でした。船宿で会い、火を放ち、梯子から逃げ、茶を所望する。すべて自分の意志で。でもここでは「呼ばれて来た」のです。待たされている。膳に手をつけることもできず、ただ座っている。

29:58

【長編連載16】「窮理通」天地静大16 山本周五郎 朗読アリア

2.1K views · 3w ago · 29:58

前回、郷臣がある人物の名を口にしました。そして今回、透は別の扉の前に立ちます。 内藤伊一郎の家に集まった四人の若い学生たちが、透に写本を見せます。「窮理通」。引力、地球、物質の変化。儒学の講堂では教わらない、まったく新しい学問がそこにありました。 わたしがこの場面で胸を突かれたのは、透が「やりたい」と言った瞬間です。 この物語が始まってから、透はずっと断り続けてきた人でした。なほとの約束以外、自分から何かを求めることがなかった。安方の頼みは引き受けたけれど、それは「断わってもきくまい」と思ったからで、自分の意志ではなかった。かの子を匿うことになったのも、成り行きです。

16:31

【長編連載15】「洋学所の風」天地静大15 山本周五郎 朗読アリア

1.8K views · 3w ago · 16:31

政治に関心がないと言い続けてきた郷臣が、初めて「どうしても助けたかった」と言う。わたしはこの場面で、郷臣という人を初めて「わかった」と感じました。いえ、正確には「わからなさ」の質が変わった、と言うべきかもしれません。 これまでの郷臣は、すべてを飄々とかわす人でした。角之進の忠告も、おせんの想いも、市造の問いかけも、「おれには関係ない」で押し通してきた。それが今回、「関心がないおれがこんなことを云うのはおかしいが」と前置きしながら、ある人物の非凡さを語る。苦笑しながら。照れているようにすら見えました。

20:50

【長編連載14】「梯子と纏」天地静大14 山本周五郎 朗読アリア

1.4K views · 4w ago · 20:50

透は学問所の講堂で硯を洗いながら、馬場で叫び合う青竜組の声を聞いています。「あんなに喚き叫んだり、木剣を振り廻すだけで、幕府に殉ずる精神や実力が身に付くと思っているのだろうか」。この静かな独白に、透という人間の芯があらわれていると思いました。 安方伝八郎は「学問などしている時勢か」と問い詰めました。青竜組は「学問など」と見下して講義中でも立って出てゆく。透はその空気のなかで、一人残って筆記の足りないところを補っている。 わたしはここで、あの北海道新聞の言葉を思い出します。「激しい変革に当面しての不安やおびえや絶望にもめげず、こつこつと文明を開拓してゆく青年たち」。硯を洗い、筆記を補い、講義を最後まで聴く。それが透の「こつこつ」です。木剣を振り回すほうがよほど派手で、わかりやすい。でも山本周五郎は、硯を洗う手のほうを書いている。

Showing the 15 most recent episodes. Everything plays right here on Pod Atlas.

Have thoughts about 朗読アリア? Share them with other listeners.

Discuss this podcast

More Arts & Literature podcasts

← Back to all podcasts