17:06【長編連載28】「咳三つ」天地静大28 山本周五郎 朗読アリア
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昨夜、唐丸の中に差し入れられたもの。紙に包まれた短い刃と、地図と、脱走の指示。合図は「咳三つ、それを二度」。 前回、蒲団蒸しにされて泣いた男が、今回は別人のように冷静です。「兎のように温和しく、狐のように狡猾になるぞ」と心に決め、護送者たちの顔を一人ずつ観察している。 初めてこの連載をご覧になる方のために、ここまでの安方をご紹介します。安方伝八郎は中邑藩の若い武士で、尊王攘夷の志士です。異人館焼き討ちを計画し、仲間とともに捕えられました。安方だけが脱藩して江戸へ逃れましたが、幕府に捕まり、藩に引き渡されました。いまは国許へ護送される唐丸駕籠の中にいます。













